井村さんのオーガニック米
『コウノトリはぐくむ田んぼ』金沢市郊外・河北潟干拓地のオーガニック米
金沢大地の有機農業や、環境保全型農業の取り組みが始まったのは、石川県金沢市郊外の日本海側にある「河北潟(かほくがた)干拓地」から。
石川県金沢市・津幡町・内灘町・かほく市にまたがる河北潟干拓地は、国の事業により開発された農地。
もともとは汽水湖で漁業が行われていた場所で、魚を獲りながら、農業をする「半農半漁」の生活をしていた農家さんも多かったそうです。
金沢大地代表の井村辰二郎(しんじろう)は、そんな自然豊かな環境で生まれ育ち、魚や昆虫を捕まえて遊ぶのに夢中な幼少期を過ごしました。
1964年生まれで、幼少期は高度経済成長期でもありました。近所の田畑でも農薬使用が進み、農薬散布後には、大量のバッタが死んでいたり、水面には死んだ魚が浮いていたり… この幼い頃の光景は、のちに有機農業を志す原体験となりました。
また、新卒で就職した広告代理店時代には、さまざまな先進企業が環境対策に舵を切り、「環境と仲良くできない企業は生き残れない」潮流も感じていました。
そのような中、家業である農業を振り返ってみると「農業ほど持続可能性があり、生物多様性を大切にできる産業は他にはない」ということに気づき、1997年に脱サラをして就農。このとき、ただ農業を継ぐのではなく、農薬や化学肥料を使用しない「有機農業への転換」にチャレンジしました。
戻ってきた!国の特別天然記念物『コウノトリ』
有機農業を25年間以上継続したことで、井村と金沢大地にとって、最高に嬉しい「事件」がありました。
1970年代に日本で絶滅が確認された、国の特別天然記念物『コウノトリ』が、2020年ごろに金沢大地の有機農場に飛来するようになったのです!
コウノトリは肉食で、魚類、カエル、ヘビ、バッタなどの生きた小動物を餌とします。飼育下では1日に約500gもの生き物を食べる大食漢です。生態系ピラミッドの上位にあるコウノトリが生きるためには、大量の生き物が必要となります。つまり、コウノトリの生息は「その場所に豊かな生態系がある」ことの証明でもあります。
有機農業を続けてきたことで、金沢大地の田んぼや畑には、微生物、昆虫、カエルやドジョウなど、たくさんの生き物が暮らしています。コウノトリの餌になる生き物が豊富で、子育てにも最適な場所として、コウノトリのつがいの「すみか」に選んでもらえたのだと思います。「有機農家冥利に尽きる」とっても喜ばしいことです!
安全に子育てができる環境をつくるために、「日本コウノトリの会」さんは2021年、金沢大地のオーガニック米の田んぼのすぐそばに人工巣塔「津幡塔」を建設してくれました。続いて、2023年には自社でもう1本、人工巣塔「金沢塔」を建設しました。
巣塔を建ててすぐの年は、残念ながら、産卵しても孵化できなかったのですが、2023年にコウノトリのヒナ2羽、翌年2024年にはヒナ4羽の誕生が確認されました!
たくさんの餌を食べて、すくすく成長し、みんな無事巣立っています。
コウノトリはぐくむオーガニックの田んぼでとれた有機米
コウノトリの餌場ともなる、自然豊かな環境で育ったオーガニックのお米は味わい深く、どれもしみじみおいしいです。
朝露に濡れた稲穂
収穫の季節!黄金色に輝く稲穂
これからも「有機農業」を通じて、おいしいお米をみなさんに食べてもらいながら、
生態系豊かな生物多様性を守り、サステナブルな生業を長く続けたい!!
このような思いで、わたしたちは日々、おいしい有機農産物をお届けできるよう取り組んでいます。
みなさまが金沢大地のお米を食べて応援してくださるおかげで、地元石川県で有機農業を続けることができ、生態系も豊かになる好循環が生まれ、感謝の気持ちでいっぱいです。
みなさまからの応援が、わたしたちの力となり、農業の未来を支える大きな力となります。
今年もぜひ、『コウノトリはぐくむオーガニックの田んぼ』ですくすく育ったオーガニック米を食べることで、金沢大地の取り組みを応援していただけると幸いです!
厳格な基準で栽培しています
有機JAS規格では、原則として、化学合成された農薬の使用は禁止されていますが、天然系農薬やフェロモン剤など、条件付きで使用が可能な農薬もあります。この点、金沢大地の有機米は、有機JAS規格で許容されているものも含め、農薬および化学肥料は一切使用しておりません。有機栽培の中でも、厳格な基準で栽培しています。
※農薬は、有機JAS規格で許容されているものも含め、一切不使用です
井村さんのオーガニック米について |
農薬 |
除草剤 |
不使用 |
殺虫剤 |
不使用 |
殺菌剤 |
不使用 |
化学肥料 |
不使用 |
第三者監査 |
登録認定期間「JONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会)」の監査を毎年受けています |
日本の有機JAS認証は、アメリカの「全米有機プログラム(NOP)」(米国農務省)およびEU各国で通用する有機認証「Organic Farming」と同等性が認められています。
加賀百万石の米所・金沢と能登半島、石川県内の2つのエリアで育てています。
わたしたちの主な農場は、石川県金沢市郊外の河北潟干拓地にあります。日本海に臨む河北潟にはたくさんの動植物が生息しています。「日本一雑草の種類が多い」「ラムサール条約の基準を満たすほど水鳥が多い」と指摘する専門家もいるほど。陸地の面積は13平方キロメートル強で、東京都豊島区とほぼ同じ広さです。金沢大地の田畑のほか、ほかの農家さんの牧場や果樹園も広がっています。
もうひとつ、2011年に日本で初めて世界農業遺産に登録された能登半島にも、金沢大地の田んぼがあります。奥能登の昼夜の気温差と湧き水がおいしいお米を育み、通常のコシヒカリよりも甘み・旨みが出るのが特徴です。昔話に出てくるような静かな山あいの田園地帯で、収穫などで忙しいときはスタッフが集落の古民家に泊まり込んで作業しますが、いろんな動物が出没しているようです。
金沢大地では、こうした恵まれた自然環境や生態系への負荷が小さいお米作りを実践しています。
お米の用語について
特別栽培とは?
特別栽培は、化学肥料・化学合成農薬の使用を地域の慣行レベルの50%以下に削減した栽培方法です。
〔参考資料〕
石川県HP「石川県における農作物栽培に係る慣行レベル」
慣行栽培とは?
慣行栽培は、いわゆる普通の栽培方法です。農薬および化学肥料の使用について表示義務はありません。